こんにちは!ありふれた日常生活を社労士受験の視点で見てみるシリーズ、今回は【ワンオペ育児をもしも労働に例えてみたら?】という題名で綴っていきたいと思います!
【日常も勉強の一部】。このシリーズは、試験勉強の内容がぐっと身近に感じるようになることが目的です。今回は第5弾です。
具体例と一緒に勉強すると、とても早く理解が深まりますよ!
【前提】私はワンオペ育児を託された労働者
さて、ここから「ワンオペ育児」を「労働」と仮定した場合、労働基準法に照らし合わせるとどうなるかということを見ていきます。
私は自分の時間を売って、(「育児ちゃんとしなさい」という脳内の指揮命令に基づいて)このワンオペ育児を行っていくことになります。
【労働時間】について考える
家事育児は24時間365日。むむ、1日の労働時間24時間?
1週間の法定労働時間、答えられますか?すぐオーバーですね!
というより、1日あたりの法定労働時間も既にオーバーでは?1日あたりの法定労働時間は何時間でしょうか?
…ということは、【36協定】出さないといけない案件ですね!しかも【特別条項付き】の。
特別条項による36協定の、時間外労働をさせることが出来る時間の上限は何時間でしたか?
それすらもオーバーしちゃうんじゃない?育児って。
そして、朝も早く私の意志とは無関係に起こされて、夜も私の意志とは無関係に「寝かしつけ」という行程があります。
しかも早朝、深夜に「お腹が減った」なんてことがあったら、「なだめる」という業務があります。
深夜割増料率は何%でしょうか。そして、「深夜帯」とは何時から何時の間を指しますか?
夜間にミルクをあげることを巷では「夜勤」といいます。
夜間の業務に従事する人は、健康診断の頻度は一般の定期健康診断と同じでしょうか?
【労働時間】を見てみただけでも、アウトになっちゃいますね。
【休日】や【有給休暇】について考える
休日は、労働基準法ではどのように定められていますか?
【4週間に4日の法定休日を取らなくてはならない】とあります。
だけど、育児はワンオペだと365日フル稼働。
法定休日なんてまた夢の夢。4週間に4日間の完全な自由なんて、ありません。
例え身体を休ませたとしても、子どもの動向に対して常に気を配らないといけないし、緊急事態に備えないといけない。
果たしてこれは【休み】なのでしょうか。労働から(精神的にも)離れていないですよね?これは、労働時間ですよね。
そして、法定労働時間以上に働いて、月所定労働日数も間違いなく正社員(もしくはそれ以上、と思っています)。
【有給休暇】取得できますよね?!有給休暇の発生要件、満たしてますよね?
法定だったら、いつ・何日発生しますか?(私、3年近く従事しているのですが、その場合は何日ですか?)
有給休暇は、【取得したい】と言えば取得出来るんですよね?取得したいです!え、だめですか?事業の正常な運営を妨げるから…ですって?
そういえば、「時季変更権」っていうのもありましたね。時季変更権を発動されてしまったら…変更後は一体いつになるんでしょうか…。
有給休暇は、時間単位で取得することも出来るんですよね!数時間でもいい、むしろ分単位でも良い、休暇をください…
あ、時間単位は、分単位じゃないんですね。しかも、制度を導入するためのステップも必要なんですね!皆さん、わかりますか?
明らかに「育児」は働きすぎなので「代替休暇」が欲しいところです。(ですが、それも叶いませんね。)代替休暇の算定方法は、わかりますか?
1日24時間、1か月休みなしで働いた場合の代替休暇は何日得られますか?換算率などは、就業規則にて定めるんでしたよね。法定の率はわかりますか?
休憩について考える
「ワンオペ育児であっても、子どもがテレビを見ている間や昼寝している間、ご機嫌で遊んでいる間は手持無沙汰だから休めるんじゃない?」
そうかそうか、これは果たして「休憩」なのでしょうか。休憩の定義は、「労働から完全に(精神的にも身体的にも)開放される状態」のはず。
いつ来るかわからない「チャンネル変えて」「おなか減った」「構ってほしい」に備えて、体力を温存しているんだ…これは、「休憩」なのでしょうか。
答えはNO!断じてNO!ですね。立派な労働時間です。ストーリーは違いますが、こんな重要な判例が、受験勉強では出てきますよね。
「手待ち時間」は休憩なのか否か。その分の賃金を支払うべきかなのかどうか、といった裁判の判例です。
【賃金】について考える
これだけ育児という労働を頑張ったのだから、賃金はさぞたんまりなんでしょうね…と思いきや、なんと明細を見たら「0円」!!
「お家に住めているんだからそれが賃金だよ」と言われてしまいました…それってOK?賃金の5大原則、覚えていますか?通貨じゃないとだめなんじゃなかったっけ…?
そして、未払いしすぎじゃないですか!?未払い賃金を支払ってもらうための制度があります。その制度を使おう。対象になるのはどの部分の賃金でしょうか?手続き方法は?
0円ということは、最低賃金以下ですね!(もはや賃金がない。)最低賃金には2種類ありましたね。どれぞれどんなものがあるか、答えられますか?
そして、賃金未払だし、労働時間もすごいし、雇用保険の失業等給付を受ける際に「特定受給資格者」になれますよね!皆さん、要件はわかりますか?
まとめ:育児は「労働法」に全くそぐわない
育児を労働と仮定して、労働基準法(一部安全衛生法や雇用保険法)に照らし合わせてみてみました。ものすごくブラック…といいますか、凄まじい法違反ばかりでしたね。
それだけ育児って法律にそぐわないものなんですね。
あくまでも「記憶する」ための極端な例として、捉えていただけると幸いです。日常生活を題材にして、ストーリーを自分なりに持って勉強していくと、とても効率よく進めていくことが出来ますよ!
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